低音の倍音成分
以前納品したお客様のシステムのチューンアップが完成し本日お客様と試聴しました。手前味噌ですが40年スピーカーをいじくってきて初めて聴くまさに「生音」でした。それは「箱状」のエンクロージャーを一切使わない、平面バッフルのみで組み上げたものです。ポイントは一つのユニットにある再生ポイントを狙って調音した一つのバッフルをつけることです。ユニットのダブル使いの効果は誰しも経験があると思いますが、今回のチューンは意識的に低音倍音を調音しました。12インチフィールド型を4個使い、2個はビオラを、2個はチェロを狙って調音したところ合成された100Hz前後の低音倍音は量感、スピード、自然さにおいてまさに生のフルオケそのものとなりました。音楽再生にもっとも自然で近いフルレンジ+平面バッフルの唯一の欠点は「低音不足」でした。今までどのような高価なSPを力のあるアンプで駆動しても平面バッフルからは痩せた量感の乏しい低音しか再生できませんでした。そのため低音成分のみをロードをかけ増強しようと私どもは「フロントロード」を開発し特許を取りました。この度のシステムは苦労して開発したフロントロード箱を無用にしてしまうものでした(ただしアルニコSPには有効と思いますが)。アルニコの2/3ウエイのシステムで位相合わせに神経を使うことはよくありますが、フィールド型はSPをどこにどこを向けてもそれなりに聴くことができます(部屋の中でバイオリンが5-6台同時に演奏されているようなものです)。今回ポイントとなったテーマは低音の倍音成分をピンポイントで調整していくということでした。