レコード音楽の魅力(1)

 今日、家庭で音楽を楽しむ際、音源の大半はCDでしょう。音質、価格、取り扱いの手軽さ、生産コスト等様々なメリットがありCDはこの四半世紀で完全に市民権を得ました。
 しかし、今でもレコードを大切に聴いている音楽ファンは数多くいらっしゃいます。何故でしょう? 今回はこのテーマについて述べさせていただきます。

 まず、レコードを聴くにはCD用の装置に加え次の機器が必要です。
1.レコードプレーヤー(主に下記の3つのパーツからなります)
  a. カートリッジ
  b. トーンアーム
  c.ターンテーブル(フォノモーター)
2.ステップアップトランス(MC型カートリッジ使用の場合)
3.フォノイコライザーアンプ(多くはプリアンプと一体型)

 新たに揃えるにはかなりの投資が必要です。価格は1.のプレーヤーは数万~数百万円、2.のトランスは数千円~数十万円、3のアンプも数万円~百万円程度です。加えてディスクの取り扱いには慎重さが求められ、新たに音源のディスクを入手するのもCDのように容易ではありません。
 このように手間とコストをかけてまでもレコードを聴きたい、レコードしか聴かないという音楽ファンは増加しているようです。私どもにもこうしたファンの方々からのご照会が数多くあります。

ではその魅力とはどんな点にあるのでしょうか?

一言で表現するならば「聴く者が魂を揺さぶるような音楽の躍動はエネルギーの大きさを感じ、CDでは決して味わうことのできない感動と満足がある」でしょうか。フルオーケストラの演奏を指しているのではありません。ソプラノでもバイオリンソロでも同様に感じます。
この状況をもう少し丁寧に分析してみると、
(1)情報量の違いと(2)音のエネルギーの質の差に大別できると思います。
(1)はアナログ最大の特徴でしょう。やはり人間の耳はデジタルでは対処しきれないような細かな変化や倍音を「自然さ」として認識しているものと思います。カートリッジはレコードの溝をトレースすることでCDとは比較にならないほどの膨大な情報量の音楽信号を発生させます。しかし、実際に増幅されてスピーカーから出る音はこのカートリッジのパフォーマンスだけではありません。レコードプレーヤーを構成する他のメインパーツであるトーンアーム、ターンテーブル等を含めた総合力で決まります。一般的にトーンアーム、ターンテーブルはそれ自身が直接「音」を出さないのでカートリッジほど注目されませんが、レコード盤をトレースし音楽信号を拾う機能、役目は極めて重要で、これらのレベルの違いは再生音に敏感に反映いたします。ベテランのオーディオマニアの方はご存知のことと思いますが、NHKはデンオンの103というカートリッジを使用しておりました。そこで多くのオーディオファンが同型のカートリッジを購入したところ期待したパフォーマンスが得られませんでした。これはアーム、フォノモーター等(電源、アンプなど)の違いを認識していないため起きたことです。改めてアーム、フォノモーターの重要性がご理解いただけると思います。
(2)のポイントは次の通りです。スタイラス(針)がレコードの溝を擦るとカートリッジのコイルが磁界内を動き微弱な電気信号が発生します。(MC型)この「発電(信号)」が重要です。CDはデジタル信号をアナログ変換し音楽信号を人工的に「合成」するものでレコードと較べると『出来上がり』には大きな差があります。コイルにより発電された信号は音溝の変化に対してかなり精度が高く、CDと較べると特にパルシブな波形(立ち上がりの速い音)ほど明らかな差が認められます。例えばバイオリンの音を例にとると、CDでは一般的にきれいに聞こえますが、レコードでは弓が弦に当たる瞬間の衝撃音までも鮮明に聴くことができます。従ってエネルギッシュなボーイング(弓の上げ下げ)も感じ取ることができるのです。
また、先のパルシブな波形は楽器の音の「芯」を作り出します。この「芯」があることにより楽器の音がより楽器らしくリアルに聞こえるのです。

 上記(1)(2)によりレコード再生音楽には演奏者の熱気や気迫、演奏者との一体感や臨場感、音楽の本質を抉るような精神性を感じ感動するのです。そこには録音の良し悪しやSNの良し悪しを超え、芸術の本質に大きく迫る素晴らしさがあります。
ですからステレオLPに留まらず世の中には熱烈なモノラル盤やSP盤の愛好家の方々がいらっしゃるのです。

 私どもではCDのみならずLPでもスピーカーの試聴が出来ますのでご来訪をお待ちしております。
 また、ステレオ用(TSD15)のほかモノラル専用のカートリッジ(EMT,OFD25初期タイプ)も用意しておりますので愛聴のモノラル盤があればご持参下さい。モノラルならではの力強く、濃く、深い音楽の世界を実感できることと思います。尚、ターンテーブルをチューンアップにておりますので対応できるのはLP(33回転)盤のみになります。

=続く=
   
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